【サスペンスドラマ】西部劇×人工知能「ウエストワールド」

この世に生きるすべての人間にとって「暴力」とはどこか惹きつけてやまない、本能的な欲求だ。
テレビで格闘技の中継を見て興奮するのも、映画で血が噴きだすシーンに魅了されるのも、ゲームで銃や剣によって相手を殺しまくるのもそうだ。
自分の力によって、相手の体を弱らせて、勝利する。
大昔から続いてきた命のやりとり。
現代では、現実世界にそんな命のやりとりは存在しない。その代わり、バーチャルな世界でその抑えていた欲求を満たしている。
もし、現実世界で、思う存分、人を殴り、人を蹴り、人を殺すことができる合法的なアトラクションがあったら……。
あなたはお金を払って、そのアトラクションを体験してみますか?
その質問に答える前に、このドラマを観賞しよう。
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西部劇 × 人工知能
ウエストワールドはビジネスだ。お金を払ってテーマパークに来場する「ゲスト」たち。彼らを楽しませるのは「ホスト」と呼ばれる、アンドロイド。
19世紀後半の西部アメリカを細部まで表現したテーマパークには、それぞれの役割を担ったホストたちがいる。そのすべては、ゲストである人間たちを心の底から楽しませるための道具に過ぎない。
ゲストは、精巧に作られた西部の世界を自分の足で歩き、冒険することができる。あるときは、バーで酒を飲み、大自然を味わい、保安官たちと協力して賞金首を捕まえ、また悪者になって目の前の通行人を銃で撃ち殺すこともできる。
ウエストワールドにおける、絶対のルール。
☆ ゲスト(人間)はホスト(アンドロイド)を殺しても構わない。
☆ ホストはゲストを傷つけることはできない。
ホストはただの機械の塊だ。外見は普通の人間と区別がつかない、人間と同じように笑い、悲しみ、怒る。おおよその日常会話をこなし、動作もまったく違和感がない。昔の記憶や、この世界に対する自分の意見も持っている。
しかし、それはなにもかもプログラム。ホストはプログラムによって話し、笑い、動き、生きているのだ。
すべては、ゲストにリアリティある体験を提供するためのプログラム。
恐怖を感じない人形を銃で撃ち殺してもつまらない。本物の人間のように顔が引きつり、恐怖に歪んだ表情ができるから、「殺す」という行為に現実と同じような重みがかかるのだ。
【プチコメント】
☆ 人を殺し、人を犯し。現実では絶対に味わうことができない最大の興奮を好きなだけし放題の世界。このドラマが描くのは、私たちが空想したひとつの夢の世界だ。それをここまで、緻密に描ききったのは、素晴らしいの一言に尽きる。
SF × サスペンス
あるとき、ホストのプログラムに小さな欠陥が見つかる。原因はわからないが、たいしたことはない。
しかし、その小さな欠陥が、やがて数々の思惑と陰謀によって膨らみ、伝染し、ゲストとホストたちを次々に巻きこんでいく。
そして、ついに、ウエストワールドにおける、絶対のルールさえも崩壊させる!
プログラムに書かれていない言動をしはじめるホストたち。ウエストワールドの隠された秘密を暴こうとするゲスト。
いったいだれが? どうしてこんなことを? 人間とはなにか? 愛とはなにか?
謎がさらに謎を呼び、物語を一気に加速させていく。
【プチコメント】
☆ 人工知能がでてきたときに一緒に考えるのは「人間とはなにか」ということです。人間と同じようにできれば、それは人間といえるのか。ウエストワールドでは、その問題にも触れながら、回を進むごとに、より大きな仕掛けが明らかになってくる。極上のサスペンスドラマです。
スタッフ
ウエストワールド シーズン1 10話構成
放送局 HBO
放送年 2016年
- 製作総指揮 :J.J.エイブラムス
- 製作総指揮 :ジョナサン・ノーラン
- 製作総指揮 :リサ・ジョイ
- 製作総指揮 :ブライアン・バーク
登場人物 / 俳優
ロバート・フォード博士 / アンソニー・ホプキンス
バーナード・ロウ / ジェフリー・ライト
ドロレス・アバーナシー / エヴァン・レイチェル・ウッド
テディ・フラッド / ジェームズ・マースデン
メイヴ・ミレイ / タンディ・ニュートン
テレサ・カレン / シセ・バベット・クヌッセン
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