オープンワールドのドラクエ
日本のテレビゲーム、ドラゴンクエストのストーリーはフルコースの料理みたいなものです。
椅子に座ったプレイヤーの前に、次々と料理(ストーリー)が運ばれてそれを楽しむ。最初の料理から食後のワインまでプレイヤーが料理を選択できる自由はなく、すべてシェフ(開発者)が料理を選んでいます。
もしプレイヤーが自分の好きな料理をオーダーして楽しめたら、もしくは椅子から立ち上がって別のテーブルに移動できたら。
よくも悪くも、さらにドラゴンクエストの世界を堪能できるに違いありません。
オープンワールドのドラクエ
もしいままでにない、とても自由度が高いドラクエが完成したとしても、行動、選択するのはプレイヤーであり、ストーリーを作るのは開発者です。
あなたの選択の数だけ物語が生まれると、それはあなただけのオリジナル性の高い物語になります。
ドラクエの世界で、どう生きるのか。すべての鍵はプレイヤーが握っています。
「はい」「いいえ」を選ぶだけの自由ではなく、もっと広い選択肢を自ら切り開いていきます。
仲間イベントを無視して、ひとりで魔王に挑むことができる。
何十人もの結婚候補から選んで結婚して、子どもを作ることができる。土地を買い、家を建て、離婚して、別の人と結婚することもできる。
村人や兵士を倒して悪ポイントを稼ぎ、魔王の手下になる。そのうち、魔王を裏切って、世界を自分のものにできる。
ゲーム開始からなにもしないで、立ったままでいるど、やがて魔王軍が世界中の町を滅ぼしてしまう。
勇者の役目を別の人に代わってもらい、転職して、踊り子として漁師として生活して、それぞれの独自のエンディングを迎えることができる。
多くのイベントに時間制限がある。お姫様をモンスターの手から救出するイベントで、だらだらしていると、やがてお姫様がモンスターに食べられてしまう。そして、そのモンスターたちと同盟を組むこともできるし、王様から信頼を失い、それを回復させるため、新たなイベントが発生したりもする。
勇者の特権として、他人のタンスやつぼからアイテムを獲得することができたが、転職して勇者じゃなくなると非難されるようになる。あまりに略奪行為がひどいと、評判が大泥棒になる。国から指名手配され、賞金稼ぎたちから戦いを挑まれる。また、評判が大泥棒になることで、カンダタ一味に入れるイベントが発生する。その道を極めることで、世界中の財宝を集めて、ハッピーエンドを迎えることもできる。
クリアデータから新しくぼうけんのしょを作ると前回のエンディングを反映した物語になる。魔王の手下になって、裏切り世界を征服していたなら、最初から主人公が魔王の設定で冒険がはじまる。魔王なので、勇者が仲間と出会い強くなる前に、世界を闇に包むのが王道だが、それを無視することもできる。各国の王と話しあい、平和に世界征服を目指すこともできるが、信頼を上げたり、裏をかいたりするなど頭脳プレイが必要になる。
勇者が訪れそうな町を先回りして村人たちを倒し、イベントをなくしたり、モンスターの数を管理して、わざと数を減らし、勇者たちに経験値を与えないようにする、などして妨害するのもいいだろう。
勇者、魔王、平和というドラクエにおける固定概念を壊し、新たな物語を作る。それはドラクエであってドラクエではない。
しかし、ドラクエという素晴らしい世界があるからこそ、その素晴らしい固定概念を壊す素晴らしさもまたあるのだろう。