盗作・盗聴・盗撮など盗○からはじまる新しい言葉を作ってみる
ひとつの言葉にはたくさんの意味がついています。たくさんの意味を説明するために言葉が生まれます。では、最初に言葉を作って、あとから意味を考えるとどうなるのか。それは、新しい言葉の可能性に気づくチャンスかもしれません。
盗作はほかの人の作品を自分のものとして発表すること、盗聴は人の会話をひそかに聞きとること、盗撮はカメラなどで許可なく相手を撮影したりすること。この「盗」という字にはネガティブな意味が込められやすい。
盗○の○にさまざまな字をはめることで、新しい概念を発見できればいいなと思います。それでは、私が作ったオリジナルな言葉を6個紹介します。
盗眠 とうみん
ある人が使っているベッドやソファなどで代わりに眠り、その人の眠りを邪魔すること。特に意図を持って行われ、相手を睡眠不足にさせた場合に使う。例「きのうは友だちに―された」
盗勉 とうべん
勉強すること、また勉強を強要させるなどして相手の意欲を失わせ、無気力にさせること。いまから勉強しようとした相手に「勉強しなさい」といった場合に起こりやすい。例「うちの母は―の常習犯だ」
盗毛 とうもう
毛の色や質や量をごまかすなどして、人の期待を裏切ること。頭髪を偽装した際によく使われる。それにより相手に金銭または精神的なダメージを与えた場合は盗毛罪として起訴されることもある。例「―の疑いは隠せないようだ」
盗臭 とうしゅう
容器や媒体に他人の体の臭いを入れるなどして不快な思いをさせること。その臭いを集めるだけでは違法ではないが、販売をすれば訴えることができる。ただ、保持性の低い臭いは立証が難しい。
盗席 とうせき
ある人が日常でよく使っている場所を奪うこと。よく使う、電車の座席や吊り革、トイレの位置、カラオケや飲み会、会社の椅子のポジションを相手の承諾を得ずに押し座ること。例「将来の社長の椅子はあいつに―された」
盗愛 とうあい
愛することにより相手の婚約関係を解消させること、またその行為。愛によって心を盗み、間接的に時間やお金を消費させられてしまった場合にも使う。
おわり
「盗」という字に新しい字をくっつけただけで、ぱっとイメージが広がりました。いままでにあった意味が新鮮に感じられ、あるかもしれない可能性に気づくことができました。漢字の組みあわせは深く、自由で、面白い。